かわむら こども クリニック NEWS  平成10年 2月号


お陰様で、5周年

 お陰様で、今月20日で満5周年になります。すこしこの五年間を振り返ってみたいと思います。
 開業は一般には、地元の病院に勤務して、その後ということが多いものです。しかし小生は日立に長い間勤務して、突然仙台での開業でした。平成5年開業時は、患者さんの来ない毎日でした。真冬なのに、それこそ10人、20人の世界でした。40人を超えたときにスタッフ一同とお祝いしたことを、今でも鮮明に思いだされます。受付の加藤君は、唯一開業以来のスタッフです。“お母さんの不安や心配の解消”を開業理念に示し、初めの頃は時間も有り余りお母さん達とはとても長く話したものでした。
 そのころの時間的余裕と開業理念を患者さんに示す一つの方法として、平成5年6月から『かわむらこどもクリニックNEWS』を発刊しました。今月号で55号にやっとたどり着いた状況です。また仙台市内は小児科も多く周りに内科小児科の先生も多いため、従来で同じでは競争していけないという観点からもこの院内報が産まれたわけです。平成5年10月からは、朝日新聞県内版「朝日ウイル」に、子供の病気や症状の対処法を短く解説した『小児科ミニ知識』の連載を始め、現在48回の連載を続けています。
 その後少しづつ当院の存在が理解され、次第に患者さんが増え始めた平成6年6月、何とA型肝炎で1カ月半も入院することになってしまいました。診療の方は何とか国立病院小児科の手助けもあり、ほとんど穴も開けず続けることが出来ました。しっかり者の中米君は、小生が入院中から一生懸命働いていてくれました。院長が入院中の病院で働くことの不安は、彼女しか分からない事だったでしょう。一方入院している小生はと言うと、病初期の苦しさを乗り越えると、後は静養と開業に対する不安の間でジレンマの連続でした。入院はもちろん初めてでしたが、そのことで学んだことは、入院しないで済むにこした事はないということです。それからは当院の患者さんでも、なるべく外来でしっかり管理(時には外来での点滴が4〜5日も続くこともあります)し、出来るだけ入院しないで済むように努力しています。入院は一度経験すると、二度としたくないと思う私だけでしょうか。
 また平成6年度から県教育委員会の家庭教育充実事業(現・家庭教育子育て推進事業)でテレビ部会(平成8年からはテレビ部長)に属し、テレビでもお会いできるようになりました。この四年間で、『こんなときどうするの?』、『予防接種が変わりました』、『ぶつぶつのでる病気』、『お熱って なあに?』、『あっ あぶない』、『個性とは? しつけとは?』、『子どもの病気 うそほんと?』の七夲を担当しました。この事業は、テレビだけでなくパンフレットや巡回相談など様々な方向で、育児支援を行っています。
 開業時から患者さんの声を反映させるため、投書箱を設置していることは皆さん御存知のことと思います。今回5周年のこともあり、今までの投書をもう一度見直してみました。総数は100通を越え、お褒めの言葉・お叱りの言葉・病院への提案・お母さん達の経験等々頂きました。現在通院中のお母さんや転居したお母さん達のその頃の姿が懐かしく思いだされ、思わず読みふけってしまいました。読んでいてお母さん達の感性には本当に感心させられます。こんなお母さん達の投書、機会があったら紹介しようと思っています。
 平成8年1月からはインターネットでホームページを開設しました。この時期でのホームページの開設は珍しく、もちろん宮城県の開業医では一番目で、全国的に見ても小児科では草分け的な存在でした。ホームページの記事は院内報と小児科ミニ知識が中心で、医療相談も行っています。ホームページも院内報と同じで、ある意味ではボランティアとして行っているわけです。アクセス数は24.000名、医療相談数は400件を越えています。医療相談は全国各地から寄せられ、もちろん無料で回答しています。また電子メールでは、かかりつけの患者さんからの報告や相談も来ています。別な意味でのホームページを開設するメリットは、開業医ながら名前が売れるということでしょうか。本当は誰かがホームページを見ていて、こんなことをやってる医者がいるのか、それならばと仕事が回ってくることになるのです。ホームページを開設してから、全国誌の“私の赤ちゃん”、“ひよこクラブ”から執筆の依頼が来るようになりました。また“すてきな奥さん”、“DOORS”、“日経ヘルス”、“ホット チャンネル(仙台放送)”でホームページが紹介されました。このようなことがまた次のことを呼ぶのだと思います。名前が売れるからといって、開業に直接的なメリットではありません。せいぜい“私のかかっている先生が本に載っているとかテレビに出ている“という程度です。院内報やホームページをボランティアとして行っている立場からは、そう言った評価(お母さん達からの投書も含めて)は、夫々を続けていくうえでの大きな自己満足を産んでくれるものなのです。今年になっても、つい先日“日経ネットナビ”、2月には“インターネット生活ひろがる便利ガイド”に掲載される予定です。
 またスタッフのことでは、このしばらくの間いろいろ悩みました。投書で「転勤があるのすか」と言われたぐらいです。しかし現在何とかスタッフの数もそろい、充実した時期となっています。人というのが最も難しいのは、育児を含めどんな状況でも同じことでしょう。やっとスタッフが馴れてきたころです。この時期を堺にして、もっとよい医療に持っていきたいと思います。また五周年に当たり、「お母さんクラブ」開設を準備中です。これで従来の病院には無いような、お母さんとスタッフそして院長の新しい関係を築いくことにチャレンジしたいと思っています。
 反省もあります。たまたま小児科医会とか保険医協会の理事やオープン病院の幹事を務めていたり、新しい知識を得るためなるべく勉強会に出席するために、ほとんど平日の半分は夜は不在になっています。このことでお母さん達に御迷惑をおかけしているとは思いますが、少し御理解いただければと思います。1〜2月にかけて石名坂の休日当番、在宅の休日当番と続きました。こんなときは休みぐらい、少しのんびりしたい思う気持ちも御理解下さい。
 何か自慢話になった帰来がありますが、新しい医療を目指している姿勢をみていただけたらと思います。長いようで短かった五年間、当院が今こうしていられるのもお母さん方始め、スタッフや周りの人々に、いろいろなところで支えられているのです。これからも開業理念に沿って、お母さん達の不安や心配の解消のため努力していきたいと思います。今までありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。


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