かわむら こども クリニック NEWS  平成18年 3月号


子どもを守る 防犯対策

 近年、子どもを対象にした犯罪が増加しています。昨年は小学一年生女児の殺人事件が2件も連続で起こり、栃木での事件は未だ解決していません。近隣の小松島小学校でも不審者がみられ対策が講じられています。スペルマン病院でおきた新生児誘拐事件もあり、いつどんな犯罪に巻き込まれるかわかりません。2月に起きた滋賀県の幼稚園児殺人事件は、まさに青天のへきれきでした。こんな事件まで起ると、本当に子どもを守る方法が無くなってしまいます。
 先日「お母さんクラブ」で仙台北警察署のご協力を頂き、「子どもの防犯対策」を開催しました。その内容もふまえて、子どもを守るための方法を考えてみましょう。
 子どもをターゲットにする様々な犯罪に関しては、多くの場合本人や周囲が犯罪に対する意識を持っていれば、その多くは未然に防ぐことが出来るものです。連れ去りなどに巻き込まれるのは、一人で行動するようになる5歳〜小学校の低学年の子どもたちです。また、親や友達の目から離れる一人でいる時の被害がほとんどです。さて、子どもたちを守るために、どんなことに注意が必要なのでしょうか。子どもたちを犯罪から守るためには、家庭でのしつけ、学校での教育、そして社会での対応が重要です。このうち、どれが欠けても充分な対応とは言えません。
 まずは、家庭の役割を考えてみましょう。最も大事なことは、子どもから目を離さないということです。以前、親がパチンコに熱中している間に、子どもが連れ去られた事件がありました。事件だけではなく、事故の多くも親が目を離した隙に起きています。とくに幼児期では、最も大切なことなのです。もう一つ、しつけということも忘れてはいけません。年齢が小さいほど、理性より本能が働きます。知らない人についていかないということを、何度も繰り返して教えることが大切です。この場合言葉で伝えるだけではなく、様々な方法を使うことを考えてみましょう。例えば、絵本やテレビから、怖いことや注意することを伝えることもいいかもしれません。お子さんと一緒に、町内を歩いてみることも役に立ちます。犯罪や事故に巻き込まれる恐れのある場所を歩いて、繰り返し教えることも必要です。
 小学校へ入学すると、大人の目が届かないところでの行動が多くなります。登校下校が事件に巻き込まれる状況のひとつです。子どもの犯罪の増加から、防犯マップを作る動きがあります。防犯マップを作る目的には二つで、当然危険な場所を把握することと、作る過程を通して子どもたちに身を守る方法を伝えることです。他の取り組みとしては、緊急(不審者)メール配信があります。従来、学校には電話による連絡網がありますが核家族や共働き等で連絡出来なかったりと、本来の機能が得られなくなっているようです。現在では多くの親御さんは携帯電話を持つようになり、電話よりメールの配信の有効性が確認されています。費用などの問題がありますが、今後各学校が対応できるようになることを希望しています。
 しつけ・教育が役に立つと言うことは異論がありませんが、それだけで充分ではありません。子どもを守るためには、社会での取り組みも重要な課題です。子どもが犯罪に巻き込まれるようになり、小松島小学校ではPTAの有志で“パトわん”が活動し始めています。仙台市内では宮町の“民間交番”など地域住民等による小集団のパトロール隊がひとつの「ユニット」として結成され、ボランティアとして犯罪防止活動を展開しています。子どもを持つ親にとってこのような活動があることを知ることは重要なことですが、我が子のことを他人任せにせず積極的に参加するという意識も必要です。今の親は口は出すけど手は出さないなんて、言われないようにしたいものです。
 子どもを犯罪や事故から守るためには、親の努力だけでは不十分です。学校や社会(地域)と繋がりを持って、自ら子どもたちを守るための取り組みに参加しましょう。しかし、親の責任も大きいものです。子どもから目を離さない、様々なルールを守るしつけは身に付けさせましょう。

宮城県警チラシより


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