かわむら こども クリニック NEWS  平成12年 6月号


もう一度 チャイルドシート

 4月からチャイルドシートが義務化されたことを、皆さん御存知だと思います。先日『お母さんクラブ』で日本自動車連盟(JAF)の御協力により、チャイルドシートの講習会を開催しました。3年前にもチャイルドシートについて書きましたが、今回再び考えてみたいと思います。
 仙台でゴールデンウイークにチャイルドシートの装着率を調べたところ、わずか30%ということでした。正直言ってまだこんなに低いのかと、驚きを感じました。確かに反則金はありませんが点数が付くのですから、もっと装着率が高いものと思っていました。装着率が低い理由を考えてみると、“自分だけは事故に遭うはずが無い”、“抱っこしていれば大丈夫”、“値段が高い”、“どうやって選んだらいいのかわからない”などでしょう。しかし自動車事故に限らず不慮の事故というのは、起こってはじめて後悔することなのです。10Kgの子供を抱いて時速50Kmで衝突した場合、その腕には何と300Kgの力がかかります。その力を腕で支えることは、不可能なことです。例え、支えられる腕力があっても、パニックになれば我が子のことまで考えが回りません。そんな時チャイルドシートは、親の代わりになってくれるのです。親の代わりになるのですから、高いものではないでしょう。
 さてどんなチャイルドシートが、いいのでしょうか。誰でも高価格ものがいいと思うし、同じ値段なら格好がいいものをと考えがちです。以下講習会での幼児用シートの選び方を、列挙してみます。

1.取り付けが簡単なもの
簡単であれば、しっかり取り付け可能。
2.安全基準に合格しているもの
日本だけでなく、欧米のでもOK。
3.あまり重くないもの
重いものは扱いが大変で、不安定になることも。
4クッションやカバーが簡単に取り外せるもの
簡単に洗濯できるほうが、衛生的。
5.背もたれが高いもの
頭部の保護だけでなく、成長しても使える。
6.サイドプロテクターがしっかりしているもの
横からの衝撃を受けたときにも、安全。
7.座面の位置が低く、面積が大きいもの
重心が低く広くなると、安定。

 他にも、値段だけで選ばない(高い方が安全とは限らない)、見た目で選ばない(見た目の豪華さと安全性は比例するとは限らない)、機能性を重視するということです。また車(シート)の種類によっては、しっかり取り付けられない場合もあるので、できるだけ買う前に装着してみることを勧めていました。
 こんな話を聞いた矢先、チャイルドシートの安全性のテストが雑誌に載っていることを知りました。皆さんは、「暮らしの手帳」という雑誌を知っていますか。雑誌なのに広告をとらずに、客観的な商品の評価をメインにしている雑誌です。チャイルドシート安全性のテストはいくつかありますが、本格的なテストは初めてのようです。内容は読んでもらうしかありませんが、概ね上に示したようなところです。基本的には、価格や見た目だけでは、必ずしも安全は買えないということでしょうか。また広告をたくさん出しているメーカーが、必ずしも安全ではないのです。読んでみましたが、子供たちの安全についてしっかり考えてられていました。この勇気ある評価に拍手を送りたい、そんな気持ちです。
 以前と比べると安くなってきたと言っても、まだまだ高価なものかも知れません。しかしその価格の比較対照になるのは、こどもの命なのです。そう考えれば、いくら高くともいいでしょう。まだ持っていない方、「暮らしの手帳」を一読して購入を考えてみてはいかがでしょうか?。

クリニック NEWS コーナーに戻る