かわむら こども クリニック NEWS  平成24年2月号


小児科医との上手なつきあい方
-信頼できるかかりつけ医を持とう-

 子どもを持つ親が、小児科とのかかわり合いで悩むことはしばしばでしょう。今回は、小児科医とのつき合いについて考えてみましょう。

?かかり方の基本
 最初に覚えてもらいたいことがあります。病院は患者のため、小児科では子どものために受診するということを理解してほしいのです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。簡単に情報が得られるようになったこと、また親は子どもを心配するあまり、先入観を持ち勝手に病名まで決めて小児科を受診することが侭あります。先入観は、時として医師とのコミュニケーションの妨げになることがあります。まず大事なことは先入観を持たずに受診することです。

?かかる時の注意
 まだ話をしたり、説明したりできない子どもの情報は、親から得るしかありません。病気の診断のためには、経過や状況の把握が不可欠なので、時には医師はくわしいことまで要求することもあります。例えば、周囲(集 団生活や家族)での病気の流行状況。現病歴 (病気の経過)として、熱ならいつから出て、どんな推移(夜だけ出る、一日中など)なのか。せきなら、種類(たんがからむなど)、程度(せきこんで吐く、夜眠れないなど)。下痢なら、回数、程度(軟便か、水様便か、血液が混じるかなど)です。このような情報だけでも診断が可能な病気は少なくありません。診断の重要な要素ですから、症状を覚えておくだけでなく、症状や経過については、メモを残しておくといいでしょう。
 また、母親以外の人が連れてきた場合の注意が1つあります。特にお父さん父親の場合では、「いつから、どんな症状なのか」と尋ねても、「さあ?」としか答えられないこともあります。ぜひとも症状を伝えるだけでなくメモを渡す習慣を持ちましょう。そして、解熱剤などの薬剤の不足分などは必ず把握してから受診するようにしてください。

?小児科開業医の役割
 小児科の役割はさまざまですが、第一に知ってほしいことは子どもの相談窓口ということです。「目やにが出た」、「耳を痛がる」、 「夜泣きがひどい」など、何科にかかったらよいのか迷います。そんな時や、専門の病院を紹介してもらいたい時などの相談でも小児科開業医を受診してかまいません。小児科医の立場でできることは対応し、別の医師の対応が必要な時は紹介する。それも小児科の大切な役割、つまり子どもの病気の総合窓口なのです。
子育て中は、心配なことは病気だけとは限りません。育児や栄養、しつけなど、心配なこと不安なことは、なんでも気軽に相談してください。
 病気の子どもとって、不安や心配など親の精神的状態は、いろいろな意味で影響を与えます。ですから小児科医は「お母さんの不安・心配の解消」をモットーに、子どもに悪影響を与えるものを取り除くのも役割です。余裕を持って子どもを観察し、適切な対応ができるように、安心を与えることが小児科医の使命と考えています。

かかりつけ医とは
 かかりつけ医とは、よく診てもらってる医師という意味だけではありません。病気の背景にあるものまで把握して、子どもだけでなく親のケアまでしてくれる、それがかかりつけ医と考えています。かかりつけ医を見つけるためには、コミュニケーションが重要な要素です。何でも聞け、お互いの考えを受け入れることができる関係です。先入観について書きましたが、先入観を持ちすぎると相手の考えを肯定しにくくなります。今の親御さんのよい医師の条件には、“患者の言うことを何でも聞いてくれる”があります。それを否定するつもりはありませんが患者は子どもです。やはり小児科医は“お母さんのいうこと”より、“子どもに必要なこと”が重要と考えています。お互いの気持ちを受け入れることができるのが“かかりつけ医”であり、“かかりつけ患者”ではないでしょうか。互いの立場を尊重し、何でも聞ける関係を築きあげていきたいものです。

(少年写真新聞「ほけんニュース」掲載予定原稿)


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