かわむら こども クリニック NEWS  平成17年 4月号


教育講演で水戸へ

 先月の12日〜13日に茨城県の水戸市に行ってきました。実は、茨城県小児科医会の講演会に呼ばれたのです。地元での講演は時々ありますが、他の地域での依頼された講演は初めてでした。あちこちでの学会発表については、院内報でも紹介していたので御存知と思います。今回は従来とは違い、なんと茨城県小児科医会研修セミナーの教育講演の講師として呼ばれました。
 依頼では、インターネットを使った活動と患者さんサービスについて、講演を頂きたいというものでした。茨城県では小児科の先生方がインターネットを充分使いこなせていないので、ひとつの手本として当院の活動を紹介して欲しいとのことでした。
 土曜日診療が終り、18:17の特急スーパー日立で水戸へ。新幹線で東京まで1時間45分なのに、2/3の距離にもかかわらず茨城県は遠く3時間もかかるのです。開業前まで日立市の日立総合病院に勤めていたので、懐かしい思いを胸に出発しました。夜のこともあり、景色も見えず少々退屈な時間となりました。しかし、見覚えのある駅の風景(日立市は人口20万人にもかかわらず、駅は平屋のみすぼらしい建物です)を目にして、昔の思い出が蘇ってきました。日立を離れて11年になります。開業してからの11年の自分の人生の変化にもかかわらず、日立の風景は時間が止っているような感じさえしました。
 水戸に着くと、日立での仕事仲間の高橋先生と待ち合わせて、夜の町へと出掛けました。久しぶりに会った友人ですが、思いで話に花を咲かせるよりも、現在の診療上の話題で盛り上がりました。インフルエンザの検査や投薬の問題など、あっという間に時間ばかり流れていきました。翌日の講演を控えて、名残惜しかったのですが早めにホテルに戻りました。現実に目を向けると、翌日の講演がだんだん心配になってくるのです。
 翌日は、日立時代にお世話になった医療器械会社の安斎さんと10年ぶりに再開。今回の水戸行きの、ひとつの目的でした。お互い10年間の変化はとても大きく、時の流れというものを強く感じさせられました。あっという間に時間が過ぎ、講演会後にまた会う約束をして会場へと急ぎました。
 教育講演の題名は、『開業小児科での子育て支援の取り組み-インターネットとコミュニケーション-』です。理念を掲げ開業したこと。理念を立ち上げた理由は新生児医療にあったこと。理念は掲げるだけではなく実践することが重要であるということから始まり、理念の実践のための取り組みを順を追って紹介しました。最初に取り組んだ院内報は140号に達したこと。HPは多くの人に支えられ62万件のアクセスを得られたこと。インターネットの双方向性を利用した医療相談は4500件を超えていること。より暖かい患者さんとのコミュニケーションのための育児サークル『お母さんクラブ』は開催回数57回、延べ参加人数は887人になったこと。更なるコミュニケーションを求めた患者さん専用メールは1200通を越えたこと。その他出版、ラジオ、テレビ等で理念を追及し続けていることを1時間に渡り講演してきました。最後に大きな拍手を頂き、自己満足だけはありました。
 最後の目的は、日立総合病院の新生児集中治療室(NICU)訪問でした。安斎さんの車に乗せられ一路日立へ。開業の理念の元となり、実践を支えているのは、日立での新生児医療の経験です。また日立病院のNICUで最初に研修した宮園先生が、現在のNICUの医長です。これも自分が辿ってきた道に間違いがなかった証拠だと思っています。宮園先生と昔話を懐かしく思い出しながら、ケーキを御馳走になってきました。現在働いているスタッフも伝説の人ということで、自分のことを知っていたのには驚くばかりでした。
 たった1泊2日でしたが、講演を通して自分の取り組みを伝えられただけでなく、懐かしい人達と会うことができて、本当にいい思い出となりました。様々な取り組みができるのも、講演の内容も、本当にかかりつけの患者さんやスタッフのお陰です。いつものことですが、多くの人たちに支えられていることを感謝したいと思います。

日立総合病院NICU:宮園先生とスタッフ達


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