かわむら こども クリニック NEWS  平成6年1月号


外来で気付いたこと−1

 今回は、よくお母さんに聞かれたり、お母さんたちが誤解していることについて、いくつか話してみましょう。
 最近は、吐いたり下痢したりする嘔吐下痢症が流行っています。下痢が続く時は、食餌療法の大切さを話します。お腹を休めるために、なるべく固形物を避け、透明な液体を中心にするよう指導します。ところが時々「下痢が止まらないのは、水分ばかり与えているためですか」と聞かれることがあります。皆さんはどう思われますか?。もちろん、そんな事はありません。そうだとすれば、水をよく飲む夏には、みんな下痢をするはずです。外来でもコレラを例に説明するのですが、水様の下痢(水便)は、腸の血管から体の水分がしみ出てきて起ります。水分をあげてもあげなくても起るのです。そんな時の治療で最も大切なものは、失われる水分を充分補給することです。話しは戻りますが、コレラでは1日に何リットルもの水分が下痢によって失われます。その治療では点滴が最も有効ですが、大量の電解質液(水に塩分を含んだもの:イオン水みたいなものです)も充分治療出来ることが確かめられています。下痢が多いときは、イオン水のようなもので充分な水と塩分を補うことを心がけましょう。
 今年の冬は、昨年と較べインフルエンザの流行が、かなり少ないようですが、熱の続く風邪は、みられます。そんな時「坐薬を使っても、熱が下がらないのですが、どうしたらいいでしょうか」と聞かれることがあります。皆さんはどう思われますか?。お母さんたちにとっても、熱は大きな心配事の一つです。しかし同じ風邪でも種類によっては、熱が下がりにくいことや、下がりにくい時期があることも事実です。そんな時はどうしたらいいのでしょうか?。坐薬を、2つも3つもいれるのでしょうか。解熱剤は、坐薬に限らず体重や年齢をもとに投与量を決めています。それ以上に使うことは、副作用などを考えると感心できません。やはり決められた量を使っても、下がらなければ、水枕や氷枕を使って様子をみるべきです。以前の医学マメ知識にも書いたように、熱を必要以上に恐れず、生体の防御反応であることをもう一度考えてみましょう。熱の原因は、ほとんどの場合は風邪です。風邪であれば、3日もすれば熱は下がります。つまり逆にいえば、3日ぐらいは我慢も必要ということです。
 もう1つ熱に関して「風邪薬には解熱剤は入っていますか」と、聞かれることがあります。これは、どう考えたら良いのでしょうか?確かに1日3回飲む薬に解熱剤が入っていたら、有効に感じられるし、実際にそうしている病院もあります。はたして、どうなのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。風邪の熱というのは、きまぐれで、いつ出るか見当もつきません。よくあるのは、朝はなくて夜になると出てくるパターンです。うまい具合に薬を飲む頃に、熱が出てくれれば、風邪薬のなかの解熱剤も効果的です。でもそんな事のほうが珍しいことは、お母さんたちがよくご存じのはずです。うまく合わなければ、熱が有っても無くても解熱剤を飲んでしまうことになるのです。ずれてしまえば、もう1度や2度も解熱剤を使ってしまうのです。ましてや、熱が1日しか出ない場合は、残りの2日は、熱もないのに解熱剤を飲んでしまうことになるのです。元気な子に解熱剤を飲ませるお母さんはいないはずです。以上の理由から当院では、原則として解熱剤は別に処方しています。もちろん一日中熱が持続し、熱による悪影響が大きいと判断した場合は、解熱剤を一緒に処方することがあります。
 外来で気付いたことを、とりとめもなく書きました。これからも、時々書いていきたいと思います。
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