かわむら こども クリニック NEWS  平成17年 2月号


スマトラ沖大地震

−危機管理(リスクマネージメント)−

 2004年12月26日午前8時(日本時間午前10時)頃、インドネシアのスマトラ島沖で、マグニチュード(M)9.0の巨大地震が発生、大津波がスリランカ、インド、タイなどインド洋沿岸諸国を襲いました。被害が明らかになるに連れて、自然の恐ろしさを痛感させられました。(日立ソフトが津波被害復旧を支援目的で無償で提供している衛星画像を使わせて頂きました。) ニュースで流れる津波の映像、本当に信じられないような光景です。建物の間を濁流が流れ、家具や自動車まで簡単に流されていました。もっとも大きな被害を受けたスマトラ島北部では、30メートルを超す大津波が押し寄せていたこともわかりました。海岸からかなり遠くまで津波が到達していたことも、明らかになっています。
 1月末の犠牲者は、死者と行方不明者を合わせると30万人以上とされています。犠牲者は地元の方々だけでなく、観光地を襲ったこともあり多くの外国人も含まれていました。日本人の犠牲者も25人を越えています。今も行方不明の方々もいて、とくにお父さんと弟さんを失い、お母さんが行方不明の遼平君の姿には、涙を誘うものがありました。昔プーケット島に行ったこともあり、家族でダイビングのためピピ島に滞在していたと聞き、同じダイビングをする仲間として余計に身につまされる思いです。一日も早く、お母さんを見つけられるようを祈っています。
 復興の様子もニュースとして流れていましたが、惨憺たる現実にまた圧倒されてしまいます。衛生状態も問題で、今後伝染性疾患が流行することが危惧され、感染症によっても多くの被害が出ることも予想されています。そして悲しいことに、子どもの人身売買も横行しているという報道があります。
 これほどの大きな被害になった理由は、もちろん地震と津波の規模でした。M9.0は20世紀の地震の規模としては4番目で、死者行方不明者はもっとも多いとされています。確かに規模が大きかったのは事実ですが、被害を少なくすることはできなかったのでしょうか。被害が大きくなった理由のひとつには、津波に対する知識が無かったことや警報システムが無かったことも上げられています。
 ここで大事なことは危機管理です。リスクマネージメントとも言われます。もともとは政治や経済の用語ですが,天災,戦争などの危機的状況・問題の発生に対処するための事前予測から,未然防止,危機発生時への準備,危機への対応,そして,再発防止までを含めた一連の活動を総称するものです。しかし、この危機管理は災害や戦争だけのものではありません。身近な子育ての場面 でも、危機管理は関係することなのです。小児科医の立場から具体的な例を示しましょう。赤ちゃんがたばこを食べてしまったり、成人の薬を飲んでしまったりすることは時々あります。手を放したら自動車にはねられた、目を離したらいなくなった。病気で様子を見ていたら、重症な病気だった。これらのことは危機管理という意識を持っていれば、防げることです。大事なことは、たばこを食べたら、目を離したら、どうなるかということを知ることです。どんな症状に注意が必要なのか、緊急性を要する症状なども含め、病気に対する知識も重要です。特に事故などは、危機を未然に防止することが重要となります。危機発生した時の準備として知識が必要ということは言うまでもありません。そして危機への対応と再発防止です。リスクマネージメントというと、何となく関係がないものと思っていたかも知れません。子育ての中にも、このような考えが必要なことをしっかり認識してください。
 最後に、スマトラ沖大地震の被災者の方にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈りいたします。

バンダ アチェ 津波前
日本ユニセフ協会緊急募金
 津波後 提供「DigitalGlobe/日立ソフト」

■インターネット募金

http://www.unicef.or.jp/bof/bo.html

■郵便局からの振込み

郵便振替:00110-5-79500

口座名義:財団法人日本ユニセフ協会

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