かわむら こども クリニック NEWS  平成5年7月号


夏と赤ちゃん

 赤ちゃんとお母さんにとって大変な暑い季節がやってきました。今回は夏と赤ちゃんという題で少しお話をしてみましょう。
 夏は、冬と比べて病気が少ないように思われますが、夏に多くみられる病気もたくさんあります。とくに夏かぜの原因となる、エンテロウイルスによる感染症が重要です。比較的多くみられ口の中に斑点ができ高熱を主訴とするヘルパンギーナ、発熱に伴う様々な発疹(突発性発疹様、麻疹様、蕁麻疹様、多形紅斑様等)が見られる発疹性熱性疾患などがあります。MMRで有名になった無菌性髄膜炎も、このウイルスによって起こります。
 赤ちゃんとは直接関係ありませんが、プール熱と呼ばれる、アデノウイルスによる咽頭結膜熱(発熱、咽頭炎、結膜炎)も夏に多くみられます。
 気をつけなければならない皮膚の病気も夏には良くみられます。その代表はあせもです。あせもは正式には汗疹とよばれ、汗による接触性皮膚炎です。
 “あせものより”といわれるものは、汗疹に細菌の感染が合併したもので、別名“とびひ”と呼ばれています。とびひは正式には伝染性膿痂疹と呼ばれ、黄色ぶどう球菌によることが多いようです。健常な皮膚にはぶどう球菌がつきにくいものですが、あせも、湿疹、虫刺され、すりきず等があるとつきやすくなります。湿疹等は適切に治療し、皮膚を清潔にし、とびひを予防しましょう。とびひは放っておくとどんどん広がります。ひどくなる前に治療を受けましょう。また兄弟がいるときには、感染しないように注意しましょう。
 毎年真夏になると、車の中で死んでしまう赤ちゃんの記事が、新聞に載ります。夏の直射日光の下では車の中の温度が、60度を越えてしまいます。体温の調節機能が十分でない赤ちゃんは、容易に周囲の温度に影響を受け、体温が上昇し、うつ熱状態となります。環境の温度には十分な注意が必要です。
 また同じように日焼けは熱傷の一つです。紫外線を遮るものがないところでは直射日光にも十分注意しましょう。
 暑さの影響を最低限にするためには、お母さん方が赤ちゃんから目を離さないようにすることがとても大切です。
 夏は、暑さのため食生活(哺乳習慣)を含めた生活のリズムが乱れがちです。夏の病気から守るためためにもリズムが崩れないよう、お母さん方が気をつけてあげましょう。
 この記事は、仙台市医師会発行の「ハロー ドクター」に掲載されました。

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