小児科ミニ知識


こどもの事故について


 今回から少し子どもの事故について考えてみましょう。
 インフルエンザが流行ったり、やれ麻疹・水痘と病気のことが心配になります。しかし1歳未満を除くと、死亡の第一原因は不慮の事故となっていることを御存知ですか。現在の日本では子ども全体の死亡率は低く、先進各国の中でもトップクラスの状況です。しかし事故に目をむけると、年齢が低くなるのにともない各国と比べて高率になっています。0〜4才の事故による死亡を、最も低いスエーデン並にすれば毎年800人もの子どもの命が救えると言われています。そうした問題点から厚生省に研究班が設けられ、次第に事故防止の効果が上がってきているところです。
 従来事故は偶然の出来事で、予防することができないと考えられていました。しかし事故の研究が進むにつれて、子どもの行動や発達を理解することによって、予防可能なことがわかってきました。
 子どもの事故の種類は多く、また年齢によっても原因が変わってきます。乳児期では機械的窒息が多くを占め、以後年齢が長ずるに従い交通事故や溺死の割合が増えてきます。実際には0歳児の第1位は機械的窒息で約70%を占め、以下交通事故、溺死の順となっています。1〜4歳までは、第1位が交通事故で約30%で、第2位の溺死もほぼ同じ割合となり、機械的窒息は減少してきます。5歳以上では、交通事故の割合が最も多く、以下溺死、火災・火炎事故となっています。
 年齢によって原因が変わることの理由は、発達の過程と行動範囲の広さの違いによるものです。具体的にいえば3カ月赤ちゃんが歩いて交通事故を起こすことはないし、5歳の子がのどに物を詰まらせることは少ないはずです。つまり子どもの発達や行動範囲に応じた対策をたてれば、多くの事故は予防できるということになるわけです。
 年齢に応じた対策をたてれば、事故は予防できるものです。次回からは事故の種類と、具体的な予防法について考えてみたいと思います。

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