小児科ミニ知識


赤ちゃんのけいれんについて


 乳児健診で「うちの子、よく足が痙攣しているのですが」と相談されます。今回は赤ちゃんの痙攣について考えてみましょう。
 乳児期早期は、まだ脳の発達が未熟な時期です。この時期には刺激に対して、痙攣のような反応が出ることがあります。その代表はモロー反射です。刺激や音に反応して、びくっとなって腕を抱え込むようなしぐさが見られます。また泣いたりしたときに口をわなわなと震わせたり、足と持つとカクカクするような反応(フットクローヌス)が見られることもあります。これらはすべて赤ちゃんに共通してみられるもので、異常ではありません。脳が成熟するにつれて、次第に目立たなくなり3〜4ヶ月でなくなってしまいます。
 さてそれでは痙攣とはどんなものを指すのでしょうか。言葉で説明することは難しいのですが、痙攣は意識の喪失を伴うことが基本です。乳児期でよく見られるものに、熱性痙攣があります。これは高熱にともない、意識がなく全身が痙攣するものです。一般的には6ヶ月以後に起り、良性で後遺症はないと考えられています。しかし熱性痙攣と思われる中にも、脳の病気などが含まれていることがあります。また外傷後や熱のない場合は、心配です。経過や症状で区別することも可能ですが、熱性痙攣と思っても基本的には病院を受診することが懸命でしょう。見ていると不安が増しますが、必ず止まると信じて親御さんが落ち着くことが大切です。
 育児は不安だらけです、心配な症状と心配ない症状を見極める目を養いたいものです。
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