朝日ウイル 小児科ミニ知識


頭部打撲について


 お子さんが頭を打って心配したことはありませんか。打撲後の症状と注意点について、考えてみましょう。
 緊急を要する場合を考えてみましょう。打撲直後に痙攣を起こしたり、意識が戻らない場合は、脳の損傷(脳挫傷)や大きな出血(頭蓋内血腫)の可能性があります。このような症状は緊急と考え、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。日常生活の中で起こることは珍しく、高所から落下したり車にはねられたなどの大きい衝撃が原因となります。救急車を呼ぶほどではない症状としては、嘔吐や顔色が悪い(蒼白)などがり、また脳震盪と呼ばれるもので短時間に意識を失うことがあります。一時的な症状の場合もありますが、念のためすみやかに病院を受診することが懸命でしょう。傷が大きい、傷からの出血が多い場合は、すみやかに病院を受診してください。
 昔から「頭を打って泣いてこぶができれば大丈夫」と言われますが、本当なのでしょうか。泣き止んだあと普段と変わった様子もなく、食欲や機嫌など普通であれば、こぶを冷やして様子を見ていいでしょう。しかし稀に打撲後は特別な変化もないにもかかわらず、時間が経過してから症状が出る場合があります。脳の表面の細い血管が切れて出血することが原因で、出血量が少ない場合は普段と変わらないように見えることがあります。切れる血管の種類によって経過は異なりますが、頭蓋骨と脳の間に血液が溜まり、脳が圧迫されると症状が出てきます。機嫌が悪い、嘔吐などから始まって、痙攣や意識障害も見られます。症状が出現するまでの時間は様々ですが数時間以上かかることもあります。稀なことなので神経質になる必要はありませんが、気になる症状があれば早めに受診することを勧めます。
 頭部を打撲した場合は、直後の症状だけでなく経過を注意してみることが大切です。

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