小児科ミニ知識


インフルエンザについて2


 今回も引き続き、インフルエンザのお話をしましょう。
 今年流行したのは、Aソ連型です。症状は急激な発熱で始まります。発熱は、39〜40℃のことが多く普通は2〜3日ですが、1週間程度続くこともあります。大人が罹患した場合は、筋肉痛や関節痛が明らかでかなりつらくなりますが、幼稚園ぐらいまでのこどもでは、症状があまりはっきりしません。その後鼻水や咳が見られ、熱が下がってから咳がひどくなることも多いようです。また2〜3日熱が続いた後一旦解熱し、再び発熱することもあります(二峰性発熱)。後半には、嘔吐や下痢が見られることがあります。
 インフルエンザは、発熱が長くなるため、お母さん達の心配が大きくなります。一旦解熱した後に再び発熱し、咳が強くなるため、肺炎を疑いレントゲンや血液検査を行うことがあります。レントゲンで多少陰影(くもり)があるときは肺炎と診断しますが、検査結果ではあまり異常はなく、ほとんどは軽快していきます。
 肺炎という言葉のイメージはどうも悪いようで、肺炎という言葉だけでお母さん達は青くなってしまいます。ところが当の本人は、熱があって咳もひどいのですが、なに食わぬ顔で待合い室で跳びはねています。肺炎にもいろいろな程度があり、かぜの延長から入院しなければならない場合まで様々です。発熱の期間やレントゲンだけでは、重症度の判定には充分ではありません。検査の結果はもちろん大切ですが、最も大事なのは本人の元気です。元気があれば、肺炎も含め重い病気のの可能性は少なくなります。入院が必要な場合もあるのも事実ですが、入院せずにすめば、それに越したことはありません。一度入院した経験や兄弟をお持ちのお母さんは、入院はしたくないはずです。外来での治療や点滴で効果がない場合やお母さん達の不安が大きい場合には、入院も考慮します。むりやり入院をさせないで、こどもが悪くなってしまったら本人だけでなく、医師も大変です。ウイルスが原因である以上、入院したからといって治療法は変わりません。状況によっては、待つことも必要です。 
 熱があると食べられないと知っていても、こどもが食べないと心配するのが母親です。かかりつけの先生を信頼し、こどもの状態を客観的に観察し状況を判断することの大切さも考えてみましょう。
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