小児科ミニ知識


先天性股間節脱臼について


 股関節脱臼は女の子は男の子の5倍程度、また骨盤位分娩で初産の子どもに多いという統計があります。先天性と言われていますが、新生児期や乳児期に発症することも多いと考えられています。つまり赤ちゃんは脱臼の準備状態と考えられ、予防が大切なことなのです。予防としては、股関節の伸展位を避けることです。おむつを幅広く当て、股関節を開いた状態で保つことが必要です。また関節に必要以上の力がかかることも避けたいものです。「5ヶ月でつかまり立ちをする」と自慢する人がいますが、無理矢理壁にたてかけて立たせるなどは禁物です。つかまり立ちが多少早くても、はいはいができ自分で立つことが出来るようになれば心配ありません。立つことを心配して、まさか縛りつけておくわけにもいきませんから。
 さて、診断はどうするのでしょうか。股関節脱臼の所見として開排制限というのがありますが、これは股関節の開きが悪いということです。また大腿部の皮膚のしわが非対称になるのも、疑う一つの根拠になっています。しかしこれだけで診断できるものではなく、開排制限などの所見がなくとも脱臼の場合もあるのです。確定診断の方法には、レントゲンが必要になります。被爆ということも考えなければなりませんが、発見が遅れた場合のことを考えれば止むを得ないことでしょう。
 足の開きが悪いとか皮膚のしわが非対称の場合や女の子や脱臼の兄弟がいるなどリスクのある場合には、4ヶ月のレントゲンの股関節検診(仙台では)を受けるとよいでしょう。

ミニ知識コーナーに戻る