小児科ミニ知識


ロタウイルス下痢症について


  ロタウイルス下痢症は、別名冬季乳児下痢症や白色便性下痢症とも呼ばれ、白色から痰黄色の下痢を特徴とする病気です。12月から3月に流行し、6ケ月から2歳に多いのですが、年齢を問わず成人にも見られます。
 症状は嘔吐で始まり、しばしば発熱を伴い高熱となることが多いようです。下痢は、少し遅れて起こり、おむつから流れ出るような水様性の下痢(水便)で、水分量が多く、色が白色から痰黄色であることが特徴です。回数は数回の軽いものから数十回に及ぶまで様々です。嘔吐が見られ、水分量が多い下痢のため、容易に脱水症に陥ることが特徴です。
 治療は特別なものはなく、重症の場合には、止痢剤(下痢止め)の効果もあまり見られません。大切なことは、腸(お腹)を休ませることと失われた水分を補給することで、飲めない場合は点滴も必要となります。炎症によって腸の中にしみだした水分が下痢となって出てくるため、出てくる以上の水分を補うことが必要になります。
 補給する水分で最も適したものは、経口電解質製剤です。これは点滴の内容と同じものですが、粉末で使用前に水に溶かして使います。その他には、乳児用のイオン飲料も適しています。飲めない場合には、水、お茶、透明なジュース等で、水分を補うことも止むを得ません。乳児期でミルクを飲んでいる場合は、ミルクが下痢を悪化させる原因となることもあります。他のもので水分補給が出来ない場合、飲ませるときには1/2〜2/3程度に薄めてあげてください。
 “飲む度に下痢が出るといって、飲ませない”という話をよく聞きますが、これは誤った考えです。ひどい下痢の場合は、飲ませなくても出るものです。出た分以上に、補うことが大切です。“吐いたあと欲しるので飲ませてしまい、嘔吐を何度も繰り返した”ということも聞きます。これも間違った考えです。吐くことを繰り返すことによって、よけいに止らなくなってしまいます。吐く場合は、吐き気が少し治まるまで、2〜3時間程度与えないことも必要です。
 脱水症が起こりやすいのが特徴なので、脱水症の症状に注意を向けましょう。嘔吐や下痢の量に注意し、元気がない、寝てばかりいる、水分が取れない、皮膚がかさかさ等は要注意です。脱水症が起こる前に病院を受診するように心掛けましょう。
ミニ知識コーナーに戻る