小児科ミニ知識


いわゆる成長痛について


 幼児期から小学校低学年の子どもが、下肢の痛みをくり返す病気です。3歳から5歳ぐらいに多く、痛みの程度は様々です。泣きながら訴えるほど強い場合もありますが、翌日には何もなかったようにケロッとしていることが特徴です。日中に痛みを訴えることがありますが、大部分は夕方から夜中にかけて集中しています。頻度も週に1〜2回から月に1〜2回と様々ですが、毎日続くことは稀です。激しい運動をした夜に訴えることがありますが、必ずしも関係があるわけではありません。痛みの場所は膝の周囲がほとんどですが、大腿部や足などの場合もあります。
 従来は成長の時期に多くみられることから、成長痛と呼ばれていました。しかし成長はゆっくりしたものなので、成長過程が痛みの原因であるということは否定的です。そのような理由から成長痛という病名自体、次第に使われなくなって来ています。原因については明らかにされていませんが、患児の性格や取り巻く環境が注目され、精神的な要因が関与しているとも考えられています。
 精神的な要因のためか、ほとんどの場合さすったり湿布をするだけで自然に軽快します。痛みが激しく持続する場合には鎮痛剤の使用も考慮されます。しかし鎮痛剤が効く前に痛みが消えることが多いため、あまり効果の期待はできません。
 年令とともにしだいに軽快するので、一時的な痛みの場合は様子をみてもいいでしょう。痛みが続いたり歩けないなどの場合は、骨や関節、稀には血液の病気などが隠れていることがあるので小児科か整形外科を受診することを勧めます。

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