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小児科ミニ知識
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冬の風邪について−2
−インフルエンザ−

 そろそろインフルエンザが話題になる季節になってきました。
 インフルエンザはインフルエンザ・ウイルスによって起こる、冬に流行する風邪の一つです。症状はウイルスの型によって多少異なりますが、典型的な経過は急激な発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠などで始まり、その後鼻水や咳が次第にひどくなっていきます。発熱は39〜40℃の高熱のことが多く、2〜3日から1週間程度続くことがあります。場合によっては一旦解熱し、再び発熱することもあります(二峰性発熱)。咳は時間の経過とともに、ひどくなることが多いようです。他に嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状が見られることもあります。
 潜伏期が1〜2日と短いため、家族や集団生活で短時間で広がることが特徴です。年長児や成人では典型的な症状を示し診断は比較的容易ですが、乳幼児では症状があまり典型的でないことが多く、普通のかぜとの鑑別はなかなか困難です。症状と感染の広がりなどで診断されます。血液やウイルスの検査は結果まで時間がかかるので、早期診断にはほとんど役立ちません。A型に対する迅速検査が開発されましたが、現在のところ保険適応は無く自費扱いです。
 合併症にも様々あるのですが、大きな問題となるものには脳症と肺炎があります。脳症は乳幼児に多く、発熱後1〜2日の早期に急激な痙攣や意識障害で発症します。頻度は低いのですが、死亡や後遺症の原因として問題になる合併症です。病気の種類や高熱のため、熱にうなされたり熱性痙攣を起こす頻度も高いのですが、痙攣や意識障害などの神経症状があらわれた場合には速やかに受診して下さい。気管支炎や軽い肺炎を合併するのが、インフルエンザでは珍しくありません。しかし発熱が長期で咳がひどく全身状態が侵されるような場合には、重症な肺炎も疑われ速やかに受診することが懸命でしょう。
 治療法は、対症療法が主になります。昨年12月にA型インフルエンザに対する治療薬としてアマンタジンという薬が認可され、成人では効果が期待されています。しかし現在のところ、小児に対する使用は、ウイルスの耐性や副作用の点から慎重にという考えが主流です。
 一般的なかぜと同様、予防のためには手洗いやうがいを励行し、規則正しい生活リズムを守るように心掛けましょう。
 インフルエンザに関しては、次の記事も参考に。
インフルエンザについて 1 平成 8年 1月30日号
インフルエンザについて 2 平成 8年 2月27日号